旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。
お久しぶりです。もうすっかり冬ですね。布団から出られません。
不覚にもナミダポロリチャンネルしてしまった作品に出会ったので、この猛る想いを形にしておこうと筆をとった次第でございます。
さて、今回感想をまとめようと思いました作品はこちらになります。
今回は表紙買いではありません。この表紙で興味を惹かれるという方は珍しいのではないでしょうかね。イラスト担当は方蜜さん。背景といいますか風景はとても味のある絵を描かれているのですが、いかんせんキャラクターは流行の絵柄ではないですしね。。。私も正直「んー……可愛い?か?まぁまぁまぁまぁラノベは絵じゃない絵じゃない……」と言い聞かせて、目をつぶったまま買い物籠に入れたほどです笑
作者は萬屋直人さん。本書が第何回目かの電撃大賞受賞作品で、自身のデビュー作だそうです。これ以降に執筆した作品がないようなので私も存じ上げませんでした。
さて、早速中身に触れていこうと思います。まずあらすじは
世界は穏やかに滅びつつあった。「喪失症」が蔓延し、次々と人間がいなくなっていったのだ。人々は名前を失い、色彩を失い、やがて存在自体を喪失していく…。そんな世界を一台のスーパーカブが走っていた。乗っているのは少年と少女。他の人たちと同様に「喪失症」に罹った彼らは、学校も家も捨てて旅に出た。目指すのは、世界の果て。辿り着くのかわからない。でも旅をやめようとは思わない。いつか互いが消えてしまう日が来たとしても、後悔したくないから。記録と記憶を失った世界で、一冊の日記帳とともに旅する少年と少女の物語。
だそうです。アマゾンから引用しました。先ほど私は表紙買いをしていないと申し上げましたが、じゃあどこに魅力を感じて読もうと思ったのかといいますと、このあらすじです。
いかにも気になりますよねこのあらすじ。まぁあらすじというものは気を惹いて何ぼというものなんですが。。。すごいですよねあらすじを書く人って。うまい書き方をするなぁと思います。自慢ではないのですが、普段から浴びるようにラノベを読んでるものとしましては、あらすじでなんとなく作品の質が測れるような気がするんです。そんな異能に目覚めた私としてはこのあらすじはグッドでした。少年少女の二人旅っていいですよね。とても甘酸っぱそうで。さらに「喪失症」ですって。何だよそれ。
喪失病とは簡単に言えば存在を失う病気だそうです。原因、発症条件、治療法などはすべて不明。喪失症の症状は段階的に表れる。これらの症状の進行には大幅な個人差があり、突然急速に進行したり逆にある段階で止まったりすることもある。だそうです。「進行」という言葉が使われているとおり、徐々に存在を失っていきます。
存在を失うって何だよ。というツッコミが多数問い合わせられちゃう。存在を失うということは死ぬということとは違います。本書では喪失病の進行度合いと合わせてどのようなことが起きるのか書かれています。
1.名前の喪失最初の症状として、発症者の名前を誰ひとりとして思い出せなくなる。これは本人も例外ではなく、また紙などに書かれた名前に関しても、その部分が白紙化することで失われる。ただし、失われる名前は本名だけであり、あだ名は失われない。この症状は薬、都市などの無機物にも発症する。そのため、この世界の道路標識は地名が消えたものがほとんどである。無機物に発症した場合、この先の段階に進むことはない。
2.顔の喪失発症者の顔を映した写真、絵画が白紙になり、さらに誰も発症者の顔を思い出せなくなる。
3.色の喪失発症者の体から色がなくなる。最初は色白程度だが、最終的には白黒映画のような完全なモノクロとなる。
4.影の喪失光が発症者を透過するようになり、影がなくなる。
5.存在の喪失発症者は最後に存在を失い、この世から消える。その際、その人が残した文章や絵、その人に関する記述やデータなど、その人の痕跡がすべてこの世から消え、残るものはその人のそばにいた人たちの記憶のみであり、それさえも顔や名前が思い出せない希薄なものである。ただし、人間の存在の喪失とともに消えるものは、確実にその人と関連があるとわかるものであり、「誰が誰について書いたのかわからない文章」などは消えない。
長いんだよハゲ。ひぃ怒らないで。ステイステイ。まぁ読んでいただければわかると思います。この設定をみて真っ先に思ったことは「灯火」に似てるなということです。皆様はご存知でしょうか、灼眼のシャナに出てくる人の形をした存在を消費し続けるだけの傀儡、です。まぁ詳しく解説してしまうと私のシャナ愛が爆発して、負荷に耐え切れず、はてなブログのサーバーが消し飛ぶ恐れがありますので、控えておきます。喪失病と等しいものと考えてもらってかまいません。
私がなぜシャナを引き合いに出したかというと、同じ「存在の消失」という背景のある世界で、シャナはそれに見合った暗いお話になっています。(といってもそれがテーマになるのは最初の巻位のものですが。。。) ところが、本書は明るい雰囲気のある作品だったからです。
シャナでは灯火となってしまった主人公の、消失への恐怖や、何も残せないなら自分の生きいている価値とは。。。などなど凄まじい懊悩に苦しむ描写があります。
翻って本書では登場人物みんなが前を向いています。こんな世界にもかかわらず絶望に満ちた雰囲気は読み取れませんでした。それは、単純にそういう描写がなかっただけといわれたらそこまでですが、登場人物がみなやるべきことを見据えていたからだと思います。残された時間を満足がいくように使いたい。と、ポジティブな登場人物が多かったからなのかなぁと。
いやー、女の子と二人旅って夢詰まりすぎでしょ。世界の果てまで行こうだなんて。あぁ^~。
バイクに二人乗りっていうのがまた最高にそそります。俺も後ろから抱きつかれてぇなぁ。俺の場合抱きついてくれるのはシートベルトくらいなもんで。待てよ、座席を女性と考えたらさいっこうにエロいな。。。
あ、でもそうしたら多人数用の後部座席ってクソビッチじゃん。あーやだやだきたねぇベルトを俺に巻くんじゃねぇよ。ひっこぬくぞ。
二人の旅には目的地はなく、どこまでも二人で一緒にという強い想いが伝わってきてこちらも悶えるほかありませんでした。
すっかり表紙の女の子も可愛くて仕方がなくなりました。もじ の ちから って すげぇ。
この本のテーマは「明日死ぬとしたらどうしますか?」って感じでしょうか。耳だこな問いですが、一度きちんと考えてみるべきかもしれません。
眠いんでこの辺にしときます。寒くなってきたのでちゃんと布団で寝たい……
それでは皆さん、壮健で。